生命科学実習の浅水先生の担当回では、5回にわたって線虫の寄生の様子や接種試験法を学んだほか、ネコブセンチュウ感染によってトマトの根に形成されたコブの切片を作製して顕微鏡観察を行い、寄生器官の内部構造を学びました。
実習では、ネコブセンチュウの卵のうを採取した時に一緒に切り取ったネコブを材料にしています。写真の、ブリリアントブルー水溶液で青色に染まっている部分が卵のうで、線虫の卵が入っています。卵のうがついている根の部分がコブのように膨れていて、これがネコブです。このネコブの中でメスの線虫が成長し、卵を産みます。
集めたネコブをパラフィンワックスの中に埋め込み(包埋といいます)、ブロック試料を作成します。ネコブが包埋されたブロックを「ミクロトーム」という専用の機械を自分たちでハンドル操作して切削し、切片を作ります。
10μmの薄さに削った切片が、リボン状に連なったものが得られれば成功です。組織を連続して切断し、CTのように断面を観察することができます。切削のスピードや刃の角度の設定など、なかなか難しい作業ですが皆練習をしながら上手に行っていました。この切片を数枚分スライドガラスに載せ、ホットプレート上で一晩加温して、パラフィンを溶かして乾燥させます。
翌日に植物細胞をトルイジンブルー溶液で染色します。パラフィンを抜くため、染色前に脱パラフィン、脱キシレン、浸水という作業が必要です。ガラス壺に入れた各溶液に浸していき、染色を行います。できあがったスライドガラスを光学顕微鏡で観察しました。
学生さんが作製したスライドガラスの画像です。赤色の丸で囲った部分がメスのネコブセンチュウです。矢印の部分では、ネコブセンチュウが産んだ卵も観察することができました。
8月に開催される夏のオープンキャンパスの生命科学科の展示ブースでは、今回紹介したネコブ切片の顕微鏡観察を体験することができます!センチュウに興味のある高校生の皆さん、ぜひご来場ください。
(中田)