卒業生の研究成果が論文として公開されました(生命・小野木研)

 一昨年度卒業した研究室2期生大島優紀さんの研究成果が、論文として動物遺伝育種研究誌に掲載されました。


シングルセル解析で得られたマルチオミックスデータにおける次元削減手法の比較

大島優紀・小野木章雄

https://www.jstage.jst.go.jp/article/abgri/52/2/52_27/_article/-char/ja

(リンクからどなたでも論文を見ることができます)


近年観測技術の向上により、単一の細胞(シングルセル)からゲノムや遺伝子発現、クロマチンの状態など様々な種類のデータが得られるようになってきました。このようなデータをマルチオミックスデータといいます。これにより、個々の細胞の状態を、これまでよりも詳しく知ることができるようになってきました。


しかし多様かつ多量のデータが得られるほど、その解析は難しくなっていきます。マルチオミックスデータの場合、データを統合しながらより低次元に圧縮し、その上で様々な解析を行います。そのため、解析の成否は適切な次元削減手法の選択に依存します。そこで本研究ではシングルセル解析由来の遺伝子発現とクロマチン状態から成るマルチオミックスデータを用いて、複数の次元削減手法を比較しました。その結果、次元削減しても情報を失いにくい手法は計算時間がかかり、逆に計算が速い手法は情報を失いやすい傾向があることがわかりました。以上から、情報の損失と計算時間双方の観点から優れた手法が、いまだ提案されていないことが示唆されました。


近年生命データは急速に量と種類が増えており、解析手法の進歩が追い付いていないように感じます。生命データ科学研究室では、そのような生命データをどのように料理するかに日々取り組んでいます。

小野木