海外農業体験実習 ハワイ 5日目

 ハワイでの農業体験実習も5日目です。

 

午前中は、本派本願寺ヒロ別院の日曜礼拝に参拝させていただきます。これまでの数日間で、ハワイ島の自然の中でコーヒー、パパイヤ、アンスリウム、アワビなど様々な農水産業に日系移民が関わっていることを学んできました。今日は、浄土真宗がハワイの人々の心の支えとして役割を果たしていることを学ばせていただくのが目的です。

 

 

ヒロ別院は、ハワイで浄土真宗の開教がはじまったときに創建された歴史あるお寺です。代表である輪番(りんばん)を務められているのは、高橋和法先生。龍谷大学文学部のご出身です。日曜礼拝に先立ち、集まられた多くの日系人の前で龍谷大学農学部から学生たちや教員がお参りに伺ったことをご紹介くださいます。”RYUKOKU”は参拝者の方々の間では馴染みのある言葉、温かい拍手を頂き、四方にいらっしゃる参拝者に向けて何度も頭を下げます。

 

 

椅子や机の様子は、瀬田キャンパスの樹心館とよく似ています。眼の前には、礼拝で使うお教の書かれた本があります。表紙をめくると、冒頭20ページほどは、仏教の予備知識のない人向けに発音の仕方が書かれているので、逆にわかりやすいです(樹心館にある本も、こうなっていたか見直してみないといけません)。学生たちも地元の方がお祈りを済ませた後に、お焼香をさせて頂きます。

 

その後は、ファーマーズマーケットを散策します。この後のパホア日系人墓地にお供えするためのお花もこちらで購入します。こちらでアロハシャツを購入した学生もいました。

 

ファーマーズマーケットでは自由時間があったので、少しマーケットから外れて歩いてみます。個人的に興味があるのは、津波ミュージアムです。同じ島国かつ火山列島に住む人間として、見ておきたいところです。特に良かったのは、ヒロの街の歴史の展示です。ハワイ諸島が発見されてから、カメハメハ大王の統一や、鉄道が敷設されてサトウキビの運搬、出荷がされていたことや、1946年の津波で線路や街並みが流されたことなど、全体像がイメージできます。

 


 パホアの日本人墓地に向かう道中では、キラウェア火山の麓を通ります。ハワイ島の5つの火山のうち、最も新しく、最も活発な火山です。2018年の噴火の際に、溶岩が通った跡が生々しく残っています。高温で融けて液状になっているとはいえ、岩石の質量があるものが通るので、地面が削られます。氷河よりも質量があり、ロードバイクほどの速度で流れるそうですから、削られるのも納得です。

  

“Lava Tree Mold(溶岩樹型)も案内していただきます。樹木の周りを溶岩が流れたときに、樹木の周りにまとわりついた溶岩がタワー状に残っているものです。樹は燃えてしまうので、内部は空洞になっています。様々な背の高さの溶岩があちこちに立っている様子は、鍾乳洞のような印象も受けます。

 


パホアの街は、2014年のキラウェア火山の噴火で被害を受けました。その一つである、日系人墓地にお参りさせていただきます。墓地の半分以上が溶岩に飲まれ、写真中央の無縁塔の左側、溶岩の下には多くのお墓が眠っています。

 


南無阿弥陀仏の御札を避けて、溶岩が通っていったところも、残されています。

 


 

こちらの墓地でも、日系人の方々にとてもお世話になってしまいます。その気持をお返しすることは簡単ではなく、せめてもの気持ちで、パホアの本願寺別院にもお参りさせていただきます。

 


 この日の夕食は、フェアウェルパーティーを開いて頂きました。この実習期間、折に触れて現地の日本人の方々に心尽くしを頂いて、どのようにお礼を伝えたら良いのか、学生さんたちも色々と感じ考えてくれたと思います。そのアウトプットをするのが事後学習です。

 

(石原@食品栄養)