4日目はアメリカ農水省研究所(USDA)での「発表」と「所内見学」の日です。
今回参加の学生数は3名で、彼らは1グループとなってパパイヤについての調査結果を話します。事前学習で調べておいたこと、現地で研究開発、栽培圃場、選果場見学、現地のスーパーマーケットなどで見聞きしたことをまとめ、発表します。
3人の役割分担もそこそこ進み、聴衆に語りかける部分なども設け、色々と工夫していました。私としては、2点、面白いなと思う部分がありました。一つは、ラクロス部に所属する学生が、パパイヤ畑での棒で突いて熟した実を落とすという収穫の様子に、「(自分が)ラクロスで使用するスティックを使用して、うまく操作できるのではないか」と提案したところです。自身の経験と繋げての発想でした。もう一つは、中国からの留学生が、「中国でのパパイヤ利用例として薬膳・漢方薬に利用している」ということを紹介したところです。選果場でほんの少しの傷で不合格となり、豚の餌として利用されてしまうものを見て、中国での乾燥しての漢方薬利用なら、解決するのではという提案です。
こちらの研究者からは、ともに発想としては面白いものの、ともに実施に難しさがあるという回答が返ってきました。ですが、すぐにダメでも、色々と可能性を提案することが大切なのだと思いますし、そうした言葉もいただきつつ、発表も良かったと好評をいただきました。
続いては、古本が研究発表をしました。この実習プログラムが始まって今年で3回目になりますが、これまで学生の発表だけだったのが、ちょっともったいないと思っており、教員の研究も紹介し、できればUSDAの方達と研究協力できないかと考えての試みです。
滞りなく終えて、とりあえずほっとしました。最新のネタはまた次回にして、古い鉄板ネタでの発表にしました。ここのUSDAはハワイ島での農場での困りごとを解決するという使命の研究所ですので、応用研究が主になりがちで、基礎研究を久しぶりに聞いたとのことでした。ちょっとピンボケだったかもしれません。
これらの発表を終えた後は、所内の見学をさせていただきました。Jonに案内いただき、研究所の最新設備、遺伝資源としてのアンスリウム温室などを見学しました。
所内には最新機器が並びます。
この品種「Aiko」はPricess Aikoから名前を拝借したとのことでした。
変わったアンスリウム。種をつけいているところを初めて見ました。
発表を終えて、Dr. Gonzalvesさんの肖像画の横で集合写真を撮りました。
緊張の発表の後、今回の工程をオーガナイズしてくださった旅行会社の社長のメノアさんに招待いただき、高級レストランで食事をいただきました。
「どうせ経験するなら、一流を経験しなきゃ」という言葉に、ハッとしました。安さ、効率、ばかりを追求するのではなく、一流のものづくりを経験するのは大切です。特に、味覚から知ることは最も端的に理解できることです。
ということで、高級なレストランでの食事、ワイン、時間を堪能しました。
発表のストレスから解放され、美味しいワインをいただき、周囲の皆さんの優しさが深く心を動かしたのでしょう。「参加してほんとよかったです」と何度も何度も笑って話していた学生の様子が、印象的でした。「一生の中で少し将来の方向性を変える角度が変わる瞬間があるとしたら、今かもしれない」そんな話が出ていました。
USDAで本当に色々と配慮してくださり、丁寧に所内の説明をしてくださったJonさん、全ての行程のオーガナイズから食事の配慮までしてくださったメノアさん、ハワイの自然誌を丸ごとガイドしてくださった長谷川さん、農業の現場・現実を楽しい食事とともに教えてくださった青木さん、他、多くの皆様のおかげさまで大変貴重な体験をさせていただけました。本当にありがとうございました。
(古本)