卒業生の研究成果が論文として公開されました(生命・小野木研)

 一昨年度卒業した、研究室2期生の藤井璃空さんの研究成果が、論文としてAnimal Science Journal誌に掲載されました。


Genetic parameters of behavior traits of beef cattle classified using wearable devices

(装着型センサーを用いて分類された黒毛和種の行動形質における遺伝的パラメータの推定)

小野木章雄・藤井璃空他4名

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/asj.14002

(リンクからどなたでも論文を見ることができます)



近年はICT技術の発達により、ウシの行動を24時間モニターすることが可能となってきました。これによって事故を防止できるほか、多数のウシ個体について行動データを取得できるようになり、その統計学的な解析が可能となりました。

 本研究では、ウシの日々の行動を、6つのタイプ、採食、動態(動いていること)、横臥(横になっていること)、起立、横臥しながらの反芻、起立しながらの反芻、にリアルタイムで分類できる装着型センサー(U-motion、デザミス株式会社)を使用し、得られたデータを遺伝学的に解析しました。センサーは、(一社)家畜改良事業団の332頭の黒毛和種肥育牛に、約5ヶ月間にわたり装着しました。その結果、ウシが各行動タイプを1日どの程度行っているか、つまり1日あたりの合計時間は、ある程度遺伝する(遺伝子により調節されている)ことがわかりました。例えば、採食を長く行う個体の子供は、やはり長く行う傾向がある、と言えます。本論文では、この他にもいくつかウシの行動に関する遺伝学的な知見が明らかとなりました。

藤井さんは卒業研究として、統計学的な計算を実行する他、論文の下書きを作成するなど、重要な貢献をしてくれました。今後は、在学生たちと、行動がどのように経済的な性質、例えば体重や肉質、に関係しているか、などを明らかにしていきたいと思います。

小野木