まず、早朝にパパイヤを集荷し、輸出用の処理を行う工場を訪問しました。コバエの拡大を防ぐため、表面の熱処理を施します。続いて、良いパパイヤのみを選別し、パパイヤの品質を守る努力をされています。
安ければいいというのとはまた違う、ブランドを育てる姿を知ることができました。
(ここで選抜されたパパイヤは豚の餌になります)
(遺伝子組み換えパパイヤとそうでないパパイヤを区別するシール)
見学後、完熟した遺伝子組換えパパイヤを試食しました。とても甘くて美味しかったです。
続いて、USDAを訪ね、ウイルス病で崩壊しかけたハワイのパパイヤ産業を遺伝子組み換え技術が救った話を伺いました。申請に時間がかかったこと、どうにか、産業が崩壊する前に達成できたこと、日本への輸出許可を得るのも大変だったこと、など、申請した当事者から伺うことできました。上の写真は、その技術開発者ゴンザレス博士への顕彰のための盾です。
午後からは、パパイヤを植えている農地を見学させてもらいました。パパイヤは計画的に栽培できる作物で、どのくらいの広さで植えるとどの規模の儲けが出るかわかるとのこと。雨がよく降るヒロにおいては火山性の痩せた土壌でも栽培できる作物だとのことでした。
生産者・仲買人、政府の研究者が一体となって、ウイルス病から復興する歴史を知ることができました。
「遺伝子組換え植物(GMO)」といえば、全てを一括りに、批判の対象となる風潮もあります。開発企業の思惑に賛成できない人など、反対の意思を持つ人にも立場・意見はあるでしょう。キリスト教などの教義上の理由から反対する立場もあるでしょう。
今回のパパイヤのケースのように、地元の産業を支える技術基盤として活用される場合などは、こうした批判とは一線を画すものだと感じました。GMOの技術を教える立場の古本としては、活用される現場を訪問することで、その有用性を確認できた良い機会となりました。
また、農業経営と技術革新が一体となっている姿に、農業経済学的な観点からも学ぶべき点がとても多いというのが同行した教員の言葉でした。本農学部は4つの学科からなりますが、こうした実例を目の当たりにすると、どの学科の学びも独立していないことに気がつきます。わかってはいても自分の分野に閉じこもりがちな従来のスタイルを反省させられる時間でした。
パパイヤ工場の社長Aokiさん、農場の社長Ichimaruさん、USDAのSuzukiさん、こうした訪問地の候補を提案してくださったアメリカ領事館ほか多くの方々の協力を得ました。この場を借りて御礼申し上げます。
(古本)