堂農場の一角、沢水を逃がすために掘った溝に、ニホンアカガエルの卵がてんこ盛り! 春が近づいていることを知らせてくれるのはふつうは梅やふきのとうなんでしょうが、田んぼまわりで仕事をすることの多い私たちにとっては、このアカガエルの卵がそれにあたります。彼女らは産卵が終わるともう一度冬眠するそうで、それは春眠ともいわれています。大仕事を終えてのカエルの二度寝、おたまじゃくしが育つ夢を見ながらまどろんでいることでしょう。
ニホンアカガエルは林と水田が接している場所に生息する、里山の生き物の代表です。自然のままでは生きていけないというほどではないでしょうが、人が加えるさまざまな攪乱をむしろうまく利用して生存しています。堂農場でも、どこに水がたまるかは工事や実験のため毎年変わりますが、彼女らはそのたびごとにうまく場所を見つけては、知らぬ間に産卵します。昨年、俺たちがここに穴をほらなかったら、いったいどうするつもりだったのよ?と訊きたくなります。生き物たちに依存されているのは、悪い気分ではありません。(三浦)