「『いのち』を扱う農学部なのだから、仏教的な視点をきっちり教育してほしい」というのが、農学部設置当時の大学執行部の想いでした。どの学部にも設けられている「仏教の思想AおよびB」という科目に加え、農業の現場と仏教を架橋する科目、「食と農の倫理」という本農学部独自の必修科目を用意しました。
農学部の4名の教員と仏教関係者4名からなる担当者によって、「遺伝子組換え技術と農業」「環境問題と農業」「食と安全」、そして「飢餓と飽食」という現代農業を取りまく難しい社会課題を論議するオムニバス講義です。科学を正しく理解し、現代において人や社会に寄り添いながら、どう振る舞うか、を語ることになります。
杉岡先生には、「仏教の思想」に加え、チャレンジングなこの講義の取りまとめをお願いしておりました。
この科目に加え、他の学内委員会においても、特に設置したての農学部にとって精神的な支柱でした。たいへんお世話になりました。これでお別れではなく、学内でまたお会いできるのは嬉しいことです。これまで本当にありがとうございました。
(古本)