土壌学研究室2期生の卒論研究の内容が、日本土壌肥料学会誌第91巻第4号に掲載されました。この論文は、「ヒシ(Trapa Japonica)茎葉を用いた団粒形成による灰色低地土の土壌物理性の改良」というものです。
龍谷大学の堂圃場の土は水はけが悪く、畑にするには難儀な土壌です。この土壌に堂圃場近くのため池で採取したヒシの茎葉を添加して「土壌団粒」を作り、土壌の粒度分布を変え、土壌の排水性を改良することに成功しました。土壌団粒は粘土鉱物とフェノール類を含む有機物(ここではヒシ)の組み合わせによって様々な性質のものが形成されますが、ヒシを使うと強度が高い良い団粒が形成されました。そして、この団粒のおかげで排水に46時間以上かかっていた土がわずか58秒で排水可能になるまで改善されました。
この研究は、卒論生二人の「土壌改良をしたい」という熱意で突然始まったので、使用した測定装置も手作りです。また、団粒強度の測定や粒度別団粒判定も、滴下装置や実体顕微鏡の前に何時間も陣取り、目視で数えて得た気合いの入った貴重なデータです。
ついでながら、ヒシに興味を持った学生は、たらいでヒシを育て、ヒシの実を使ったヒシ茶を研究室全員に振る舞ってくれました。彼曰く「健康に良い」のだそうです。卒論ファイルにも「ヒシ♡」の文字が。龍大オープンを征した猛者なのですが、意外とチャーミング♡でした。(土壌学研究室:森泉)
堂土壌(対照区左写真)にヒシ茎葉を添加するとわずか10日目には団粒が形成されました(ヒシ区中央写真)。
2018年の天水下池での「ひし」の回収風景。ため池では三浦研と共同でいろいろな調査を行っています。枠内はたらいで育ったヒシ♡の花