国立歴史民俗博物館「くらしの植物苑」を訪問

 千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館(通称「れきはく」)は、大阪にある国立民族学博物館(通称、「みんぱく」)と対をなす、日本を代表する博物館のひとつです。この博物館に併設された「くらしの植物苑」は、考古学・歴史学的に日本人と深い関りをもってきた植物を集めたユニークな植物園です。私はどちらもずっと気になっていながら訪れたことがなかったのですが、縁あってこの植物苑のリニューアルの仕事に関わらせていただくことになり、顔合わせのため初訪問してきました。 

 「くらしの植物苑」の入り口です。江戸時代の武家屋敷の「冠木門」(かぶきもん)を採用したのだそうです。コロナの影響下、訪問者は少し少なめのようでした。



おりしも特別展「古典菊」の開催中。江戸菊、嵯峨菊、肥後菊など、各地方で育成されてきた独特の品種群がならんでいました。この日案内してくださったのは、東京大学名誉教授の辻誠一郎先生。植物の話題が無限に湧き出てきます。


これは江戸菊の品種‘江戸絵巻’。江戸菊は、いったん開いたあとの花弁が老化してよじれていく姿を愛でるのだそうです。何とも奥深い……。




次は嵯峨菊の品種、その名も見たまんまの‘錦糸卵’(きんしたまご)。嵯峨菊といえば京都の品種で、雅でお高くとまったイメージを勝手にもっていたのですが、こんなお茶目なネーミングもあるのですね。



もちろん本館展示も見たのですが、何せ膨大な展示品、とても全部は見切れませんでした。これは滋賀県長浜市の農業集落の歴史を紹介した展示の中にあったジオラマで、昭和50年代後半の初夏のある日を再現したものだそうです。ちょうど田植えをしているところですが、すみずみまで行き届いた芸の細かさに感嘆。大きな声で呼んだらふりむきそうです。



「くらしの植物苑」にはこれから何度も通うことになると思います。農学の立場から、どんなお手伝いができるか楽しみです。(農業自然史研究室:三浦)