ナスの果実は同じナス属のトマトのように、β-カロテンやリコピンのようなカロテノイドをほとんど含みません。そのため、ナスは栄養が少ないというイメージを持たれますが、カリウムや食物繊維、果皮にはポリフェノールなどを含んでいます。ナスを栽培するアジアの国ではビタミンA欠乏症が問題になっている地域があり、今でも多くの子どもが視力を失い、命を落としています。そこで私たちはビタミンA欠乏症の改善を目的に、ヒトが摂取すると体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンを果実に蓄積する遺伝子組換えナスを開発しました(大阪公立大学 小泉望教授との共同研究)。本学農学部の植物培養室には全国でも有数規模の人工気象ユニットが備わっており、高照度の光を照射できる高機能型人工気象ユニットを利用して組換えナスを栽培しています。実った果実にどれくらいβ-カロテンが含まれているかについて、ラボラトリー専門助手の山本先生が分析しています。このような研究結果をもとにして、ビタミンA欠乏症の改善に役立てるようなナスの開発を目指したいと考えています。
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高機能型人工気象ユニットでの栽培 |
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栽培中の組換えナス |
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左の非組換えナスと比較して、組換えナス(右)の果実はオレンジ色をしている |
(植物育種学研究室:三柴)