資源生物科学科(2023年度から農学科)を志望する皆さんへ⑩ ~暖房のための化石燃料の使用を“ゼロ”に,トマトの冬期無暖房栽培の取り組み~

  一昔前,トマトは夏の野菜でしたが,今は夏だけでなく一年中,スーパーマーケットでトマトを見ることができます.一年を通してトマトを作れるようになった背景には温室の普及と化石燃料による暖房があります.トマトは気温がある一程度以下になると結実できなくなるため,冬に野外でトマトを作ることは出来ません.そのため,冬は化石燃料を燃やして暖めた温室内でトマトを栽培しています.しかし,化石燃料による温室内の暖房は栽培のためのコストを増やすだけでなく,地球温暖化の原因物質の一つとされる二酸化炭素を大量に排出します.そのため,より経済的で持続可能なトマト生産のためには,冬に暖房しないまたは少しの暖房でトマトを生産できるようにすることが望まれます.

                 トマトの栽培管理を行う学生

単為結果性トマトは,受粉なしに結実する性質を持つトマトで,通常のトマト品種では結実できないような低温下でも果実を生産できます.現在,野菜園芸学研究室ではこの単為結果性トマトを利用して冬に暖房しない温室でトマト果実を生産する冬期無暖房栽培の研究を行っています.冬に無暖房でトマトを栽培するのは現実的にとても難しいですが,日中の気温制御や温室の被覆資材の工夫,低温に強いトマト系統の利用などを複合的に組み合わせることで,無暖房は無理でもできるだけ化石燃料を使用しないトマトの栽培法を確立したいと考えています.

               調査を待つ無暖房栽培のトマト達

                            野菜園芸学研究室(滝澤)