『木とケンカしない果樹栽培をめざして』の第2報です。最初の記事は、この「…志望する皆さんへシリーズ」の②(3月9日投稿)にあります。
この春、購入したキウイフルーツの苗を、短く切り戻して植木鉢に植え付けました。4月上旬に萌芽して以降、順調に成長し、早いものはすでに3mくらいの枝長に達しています。
よじ登り型のつる性植物には、枝が巻き付くタイプ(アサガオなど)、巻きひげを出して掴むタイプ(ブドウなど)、脚を出し付着するタイプ(ツタなど)、棘を出して引っ掛けながら登るタイプ(イバラなど)があります。キウイフルーツは、枝を支持物にらせん状に巻き付けて登るタイプです。
枝は、萌発当初、まだ支持物を見つけていない頃は、おおよそまっすぐに伸びます。1m以上の長さのつるが、何にもつかまらずに空中に上向きに浮かんでいたりします。支持物を見つけると、らせん状の巻きつき運動をしながら支持物に登り始めます。そのうちだんだんと先へは伸びなくなってきて、最後は枝先端が巻きひげのように細くなり、支持物にしがみつきます。
伸長が止まると枝の基部の側芽が萌発して新しい側枝を吹き始めますが、多数の側枝が樹の基部に密生し風通しと日あたりを悪くするので、最初の枝にできるだけ長く伸びてもらいたいのです。絡みつくと伸びを止めますから、巻き付き過ぎないようにらせんをはずし、支柱に誘引しています。写真では、何かに巻き付きたい枝が、頼りなさげに支持物を探している雰囲気が見てとれますね。
つる先が支持物に接触すると、その刺激が植物ホルモンのエチレンを介してさらなる絡みつき運動を誘起するというのが予想される生理現象です。そこで、なるべく植物体がエチレンを出さない状態を続けさせて、伸長量をかせぎたいと思っていますが、宙ぶらりんでフラフラさせてやるのがいいのか、多少はモノに触れさせて風に揺らされない状態にしてやった方がいいのか、まだよくわかりません。
写真の枝は、支柱への絡み付きはこまめにほどくけれども、風に揺らされないように支柱には括りつけるという処理区です。(逃げられたら追いかけて縛り付け、逆に、しがみつかれたら振りほどくという、チープなメロドラマ風処理ですね)
さて、先日、大学の鉢植え材料のうちの数個の株が、茎と葉をちぎられるという被害にあいました。茎の切り口には、引っぱって食いちぎったような痕がありました。
確固たる証拠はありませんが、ノラネコの仕業ではないかと思います(キウイフルーツはマタタビの仲間なので、ネコ科動物がじゃれつくことがある)。クレオソートの臭いでネコを追い払うべく、正露丸をまいてみました。さてこれは新しい害獣対策技術になるか?!
(果樹園芸学研究室 尾形 凡生)