7月7日、8日の実習は、実習ほ場で栽培されている農作物の病虫害調査を行いました。まず7日は、食の循環実習などで栽培されているナス科植物(ナスやトマト)、ウリ科植物(キュウリ、ズッキーニ、スイカ、カボチャなど)を中心に、発生している病気の調査をしました。この日は日差しも強く猛暑日に近い気温となり、熱中症も心配されましたが、しっかりと水分補給や休憩を取りながら、誰も倒れることなく無事終えることができました。長時間、炎天下にいるわけにもいかず観察できる時間が限られていたかもしれませんが、そもそも、「おかしいな?」と思った葉や果実の状態が病害なのか、虫害なのか、それとも生理障害なのか…その場でスマホなどを使って調べても、これらを見分けるのが難しいケースが多かったかもしれません。やはり実際の症状を見て何度も何度も経験しないと、その場で判断するのは容易ではありません。加えて、なかなか病気が見つけられずに苦労した班もあったようですが、例年に比べて今年は病気が少ないように感じました。毎日圃場の手入れをされている農場技術助手の先生方によると、「数週間前まではかなり病気が出ていたけれど、実習前に数日続いた大雨の影響でかなり減った(流れ落ちた)」そうです。とはいえ、やはり日々の丁寧な管理の賜物のような気がします。
一方で、実習ほ場には農薬(害虫防除)を一切使用していない区画があります。水田の一部と大豆畑の一部の区画です。実習や研究のために農薬が使われずに管理されてきました。虫からしたらパラダイスかもしれません。全日の病害に続いて、8日はこれらの区画で害虫の調査を行いました。まず初めに事前に仕掛けておいたハスモンヨトウとチャバネアオカメムシのフェロモントラップを実際に観察しましたが、カメムシは特に大量にトラップされていました。これで害虫の発生状況を予察するわけですが(その手法の一つ)、いったいこの実習ほ場にはどれだけの数のカメムシがいるか、考えただけでも恐ろしくなります。今回トラップに用いた昆虫のフェロモンですが、「甲子園に水を満タンに張った中に、スポイトで水を垂らした程度」の濃度で効果を示すと説明がありました。このような極めて微量なレベルで働く化学物質や、それを感知する生物の力は本当に不思議です。その後、大豆畑で実際に害虫や被害を調査しました。少し株を揺すると虫が飛び回るだけあって、カメムシなど多種類の昆虫が見られましたが、食害や吸汁害などの被害はしっかりと確認できたでしょうか。穴だらけの葉や莢にも小さな黒点が見られました。
最後に、この実習の裏では、先週行ったジベレリンの生物検定の続きで、実際にイネの幼苗の長さを測定しました。多くの班で、ジベレリンの濃度に合った伸長が見られているようでした。また、先週のホルモン、今日のフェロモン…2回の実習で扱ったこれらはいずれも化学物質ですが、その違いはしっかり覚えているでしょうか?
山本・妹尾