資源生物科学実習B ⑧

 資源生物科学実習もいよいよ終盤にさしかかってきました。

 昨日630日は植物ホルモンの作用についての実験です。植物ホルモンは、ppmppbという極めて薄い濃度で植物体内で働いています(浴槽や25mプールに塩をほんの一つまみ…くらいの濃度)。最近は分析機器の性能が飛躍的に良くなり、このような微量成分を定量することが可能になっていますが、かつては植物ホルモンの主要な定量方法は生物検定が主要な定量方法だったそうです。今回は、イネの伸長に関わる植物ホルモンであるジベレリン(GA3)を体内で作れない“短銀坊主”というイネを用いて、外から与えたにGA3対してどのような伸長反応を示すか(濃度に見合った反応を示すはず)、正常品種の‘にこまる’と比較して評価を行います。発芽した種子を寒天培地に播種しこのまま1週間培養します。途中、培地が固まらない班などがあるなどトラブルもありましたが、1週間後、微量のGA3が果たしてイネ幼苗の成長にどれくらい影響を与えるのか結果が楽しみです。

   また今日71日は、植物色素(クロロフィル)の抽出と簡易な定量を行いました。ほうれん草、パセリ、レタス、そして赤シソの4つを用いましたが、クロロフィル量に違いは見られたでしょうか。また、見た目の色と相関があったでしょうか。抽出した葉の量にもよりますが、赤シソは少し黒ずんだような色をしていたかもしれません。赤シソにはクロロフィルに加えてアントシアニンが豊富に含まれています。クロロフィルは脂溶性が高く、アントシアニンは水溶性が高い物質です。今回はどちらもが溶ける両親媒性のアセトンを用いて抽出しましたので、どちらも溶けている状態でした。そこに性質の異なり混じることのない酢酸エチルと水を加えると、先生が説明して回られていたように、クロロフィルが解けた地上層とアントシアニンが解けた下層とに分離します。レポート課題にはありませんが、興味のある人は「分配抽出」や「極性」という言葉を調べてみると今日の現象が良くわかるかもしれません。

 

 最後に、サンプルのほうれん草からひょっこり出てきました。「ヨトウガ」だそうです。
基本的に害虫扱いされる子ですが、少し見守ってやりましょうか。

山本