食肉の生産・流通とHACCP導入

記事にするのに少し時間が経ってしまいましたが、2024年6月20日、食料農業システム学科3回生以上配当の講義科目「食と農の安全安心論」にて、京都市中央食肉市場(京都市中央卸売市場第二市場、施設紹介へのリンク)市場活性化係の林光地先生に「京都市中央食肉市場におけるHACCP導入」というテーマでご講演いただきました。

多くの学生が熱心に聞き入っていました

この講演は2年前にも実施したことがあります(過去記事へのリンク)。その時と同様、学生はまず牛肉・豚肉の生産・流通の仕組みと卸売市場の役割について詳しく学びました。

京都市は、総務省家計調査(2人以上の世帯)において、牛肉の消費額が2021年〜2023年の平均で全国の都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキングの第1位です。購入数量は全国9位なので、それだけ単価の高い牛肉を買っているということになるかもしれませんね。そんな京都市の食肉市場には、全国からトップクラスの和牛が集められています。

京都市中央食肉市場にトップクラスの和牛が集まるのは、京都市で食肉消費が盛んだからということだけが理由ではありません。京都市中央食肉市場は、全国で12ヶ所しかないアメリカ・EUの両方に食肉の輸出が可能な認定施設でもあります。輸出認定施設となるためにはと畜場・食肉処理施設のHACCP対応が必須であり、京都市中央食肉市場では施設再整備(2018年)にあわせて積極的にこの輸出施設認定に取り組んでこられました。

アメリカ向け輸出認定施設には毎月厚生労働省から検査官が派遣され製品の衛生的取扱い、HACCPシステム等について査察が行われるのに加えて、この5月にはアメリカからも係官が来られて施設の査察が行われたそうです。学生は食肉流通の現場について初めて聞く情報に圧倒されつつ、熱心にノートを取りながら林先生の話を聞いていました。学生の感想をいくつか紹介します:「今回の講演を通して、京都市中央食肉市場では、生産者と市場が一体となって安全・安心・高品質な食品を生産し、海外に輸出しているということがわかった。」「これまでの講義でHACCPについて学びましたが、なかなか文章だけでは不明瞭な点が多く、今回食肉のトリミングという工程を例に、CCPやCLなどを具体的に学べたことでHACCPというものについての理解を深めることが出来ました。」

時間いっぱいまで内容盛りだくさんの講演をご準備いただいた林先生と、同じく京都市中央食肉市場市場活性化係の廣瀬主任に、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。(山口)