2年生の実習が始まりました

生命科学科と農学科では、2年生後期に開講されている基礎実習がスタートしました。

最初の生物学実習は「昆虫採集」(主担当:塩尻先生)です。この日はまず昆虫採集における目的や意義、基本的な採集法(スウィーピングなど)を学び、堂農場(畑)と龍谷の森(森)の2カ所でそれぞれどのような昆虫が見つかるか予想を立てた後、班ごとに採集をおこないました。次回は採集した昆虫の同定と顕微鏡観察、スケッチをします。
まだ残暑を感じる天候でしたが、皆とても積極的な姿勢で取り組んでいました。



後期の実習(引き続き3年生前期も実習はありますが)頑張りましょう。(中田)

園芸学会令和7年度秋季大会

 920日から22日に高知大学朝倉キャンパスで園芸学会令和7年度秋季大会が開催されました.龍谷大学からは植物育種学研究室から1名,花卉園芸学研究室から2名,野菜園芸学研究室から4名が発表しました.



 植物育種学研究室の発表者はM1の廣島さんで「シーベリーの無菌発芽および組織培養における諸条件の検討」について,花き園芸学研究室の発表者はM1の里見さんと疋田さんで,それぞれ「異なる波長の光が絶滅危惧種ラン科植物の発芽と初期成長に及ぼす影響」と「カルス培養を利用したチューリップの大量増殖系の確立に関する研究」について発表しました.野菜園芸学研究室の発表者はB4の木本さん,前田さん,M1の平山さんとM2の永井さんで,B4の二人はポスター発表,平山さんと永井さんは口頭発表でした.皆さん,発表はとても緊張したと思いますが,学会という専門家が集まる場で発表できたこと自体が大きな経験です.この経験を自信に変えて,今後の卒業論文や修士論文の研究に取り組んでもらえればと思います.



 野菜園芸学研究室の滝澤は22日の産地見学にも参加しました.見学場所は3カ所で,高知市三里園芸部花き部会生産者(グロリオサ)→農業技術センター(野菜・花きの試験ハウス見学)→新田農園(ナス)でした.普段は見ることができない場所を視察できただけでなく,実際に栽培されている現場の方のお話を聞くことができ,非常に勉強になりました.

グロリオサの写真

 高知県では天敵の利用が広く普及しており,農業技術センターや新田農園さんでもコナジラミやアザミウマの天敵であるタバコカスミカメが導入されていました.写真はバンカー植物のクレオメとゴマで,ここでタバコカスミカメを増やすそうです.龍谷大学の温室でもコナジラミとアザミウマの防除が問題になっていますので,試しに導入してみたいと思います.


左:クレオメ,中:ゴマ,右:ナスの圃場

野菜園芸学研究室 滝澤

日本植物学会 第89回大会 に参加してきました

 9月の18日から20日まで、福岡市の国際会議場で行われた、「日本植物学会第89回大会」に修士の学生1名と参加しました。


この学生は2年前に行われた札幌大会に学部4年生として参加した経験を持ちます。2年前は、発表後の質疑応答で、「それはトランスローコンを介しているのですか」という質問を受け、初めて聞くカタカナ専門用語にドギマギして、結局「まだ知識不足で質問が理解できません」と答えてしまった経験を持ちます。これはこれで正しい応答なのですが、知識不足を曝け出してしまったことに恥ずかしさもあったはずです。

その時から2年たち、今回は堂々と発表し、質疑にも正しく答えられていました。発表後には、私たちの分野の大御所の寺島先生にデータが明瞭なことを褒められもしたようで、意気揚々としておりました。これまでに参加した、札幌大会、アジアオセアニア光合成会議、と比べ楽しかったと話していました。

随分成長したなと実感しました。2年間の修士課程でほぼ毎日実験し、結果を議論し、落ち込むことも多かったろうけど、そうしたやりとりを重ねここまで成長したのですね。あとはこの仕事を論文化する段階が残っています。引き続き、卒業に向けて頑張って欲しいです。

(古本)

京都府立桂高等学校でアグリカフェを開催しました!


 2025年9月17日、京都府立桂高等学校で「アグリカフェ」を開催しました。

「アグリカフェ」は、カフェでくつろぐように、気楽に農学を楽しんでもらいたいと企画されたものです。

今回は、「野菜や果物って、どうしておいしい?〜栽培法と香りのヒミツ〜」と題して、農学科 植物栄養学研究室の玉井と収穫後生理学研究室のウェンダコーン先生が担当しました。

思考実験やケチャップの食べ比べ、香りをかぎ分ける実験をなど通して、新しい発見が多数あったようで、生徒たちは楽しそうに受講してくれました。

この中から共に農学を探求する学生が現れることを願っています。

 

(農学科 植物栄養学研究室 玉井)


思考実験

ケチャップの食べ比べ

香りのかぎ分け実験




地域社会農学モデル修士論文・博士論文中間報告会を開催しました

2025年9月17日瀬田キャンパス4号館で、地域社会農学モデル修士論文・博士論文中間報告会を開催しました。

修士課程在学中の都蘭さんが「中国内モンゴル自治区東部地域における家庭牧場に関する研究ー通遼市ジャルート旗を事例として」、博士課程在学中の武山林さんが、「中国内モンゴル自治区における肉牛繁殖農家の技術効率性に関する研究」をテーマに、それぞれの論文の内容を報告しました。



さらに質疑応答の時間には、指導教員の竹歳教授や主査や副査を担当する教員などから、中国の畜産業の発達や畜産農家経営などに関するコメントや質問が出され、活発な議論がおこなわれました。



報告を終えた大学院生は、今回の経験をかてにしながら、修士論文や博士論文の完成を目指して研究を進めていきます。(落合)

日本育種学会第148回講演会に参加しました(生命・小野木研)

 91011日に札幌コンベンションセンターで行われた日本育種学会第148回講演会において、当研究室(生命データ科学研究室)修士2年生の木南綾子さんがポスター発表を行いました。演題名は「多形質・多環境データにおける表現型値補完及び育種価予測手法の比較」でした。

 作物の品種改良を行う過程では、様々な環境(地域や栽培条件)で作物の様々な性質(収量、品質、開花期など)を測定し選抜の指標とします。しかし、栽培記録が常に順調に得られるわけではなく、どうしても記録には欠損が生じます。そのような欠損をどのように埋める(補完)すればよいか、また欠損があるなかで、どのように遺伝的に良い品種を選ぶことができるか(遺伝的な良さの指標を育種価という)について、様々なオープンデータを用いて手法の比較を行い検証しました。

修士1年のときは質問にうまく答えられなかったことも多かったようですが、今回は前回よりも質問の内容を理解し答えることができたようです。そろそろ修士での研究もまとめなければいけない時期になりましたが、一層の頑張りを期待しています。

発表前の様子

熱心に説明しています

小野木


海外農業体験実習(ハワイ)5日目・6日目

 実習も後半。5日には今年からの試みで、ハワイ島のロコワカポンドの自然回復ボランティアを行いました。

ガイドをお願いしている長谷川さんが取り組んでいる活動のお手伝いです。

カメハメハ大王の時代、ハワイ島には養殖池として多くの淡水池が利用されており、それが固有種や渡り鳥の貴重な生息域として機能してきました。今はもうそうした養殖池としての利用はなくなり、外来植物に覆われ、鳥などの生態系が損なわれています。ところが、外来植物(カリフォルニアグラス)を除去するだけで、鳥が戻り、貴重植物が現れます。

泥だらけになりますが、みんな頑張りました。


ハワイ大学のボランティア団体や、地域の方々もお手伝いされています。



活動が終われば、ピザを食べ、シャワーをして、近くのビーチに入りました。




20mほど沖の島にわたり、学生たちは地元の若者と交流していました。


少しでもハワイから学ぶだけでなく、ハワイの自然に恩返しができればと思います。こうした活動から、ハワイの自然、湿性遷移、固有種、侵略的外来種、地元の人たちとの交流など、得難い経験ができました。

6日目は、最終日です。
日曜日なので、浄土真宗ヒロ別院の日曜礼拝(Sunday Survice)にお参りしました。
その後は、ダウンタウンに出て、Farmer's Marketを見学しました。
そして、パホアにある日系人墓地に参詣しました。

10年ほどまえに溶岩が流れ込んできて、墓地を飲み込みました。すんでのところで溶岩流は止まったのですが、なまなましい溶岩の力を目の当たりにしました。
日系人の方々はこうした自然の中でも逞しく生活され、私たちの訪問を歓迎してくれます。
彼らが大切に育ててきたアンスリウムも見学しました。
パホアの別院も参詣し、ヒロに戻ります。
ヒロではお世話になった方々が、BBQパーティーを開いてくれました。


ハワイ実習では、自然を感じること、自然の中で農業を営み生活していく人の姿を感じることができました。キラウェア火山の影響や雨風、厳しい環境でどのように作物を育て、商売として成立させ、営んでいくかがわかります。

この実習を企画した初代農学部長の末原先生は、「ハワイ島こそ、農業と自然と人がいい距離感にあり、農業の本質を知ることができる」とおっしゃていましたが、毎年訪問するたびに、この言葉を実感します。

学生たちの一生の宝になる経験をさせていただきました。お世話になったすべての方々に深く感謝申し上げます。


(古本)




海外農業体験実習(ハワイ)3日目・4日目

 海外農業体験実習(ハワイ)3日目(828日)

ハワイの農業体験実習第3日目からはヒロでの活動になります。当初の予定では、この実習でいつもお世話になっているアメリカ農務省(USDA)太平洋流域農業研究センターのロクサーナ・マイヤーズさんとジョン・スズキさんの講演を聞くことから始まる予定だったのですが、今年はセキュリティ関係の変更があったとのことでUSDAの施設に入ることができなくなってしまいました。替わりにハワイ大学熱帯農業・人的資源学部の講義室を借りてお二人の講演、そして次の日の学生プレゼンテーションを行うことになりました。

 ジョンさんの講演は遺伝子組み換えパパイヤのお話の他、彼自身の研究や関心のある幅広い話題に及びました。これに対して学生たちもいくつか質問を行い、ジョンさんに丁寧に回答していただきました。あまりに質疑応答が続いたために講演時間が長引き、次の予定であるパパイヤ農園の見学の時間が迫り、ロクサーナさんの講演の時間がなくなってしまったのは非常に残念でした。

ジョンさん講演

  次はパパイヤ農園とパパイヤ箱詰め工場の見学です。目の前に広がる広大なパパイヤ圃場を前に、学生たちも「いったい何百本あるんだろう」と驚いた様子でした。農園管理責任者のイチマルさんにパパイヤ栽培の要点や問題点などを説明していただきました。お土産に完熟パパイヤをたくさんいただきました。

パパイヤ農園

パパイヤ箱詰め工場では従業員の方々が手際よくパパイヤを箱詰めしていました。箱詰めの前には厳しい品質チェックがあり、形の良くないもの、傷のあるもの、着色がそろっていないものは廃棄となり、かなりの数が廃棄されていました(もったいない…)。この工場から日本行きの商品も出荷されており、日本行きの箱がたくさん用意されていました。

パパイヤ箱詰

お昼になりましたので、途中のショッピングモールにあるファストフード的な中華料理店に入ったのですが、その量にびっくり! とても食べきれないくらいです。ただでさえ昨晩のディナーでたらふく食べているのであまりお腹が空いていない者も多く、目の前の大盛り料理を見て呆然とするばかりでした。

大盛りの昼食

 次の見学地は、毎回お世話になっているアンスリウム農園(グリーンポイント・ナーセリーズ)です。見学にはUSDAのロクサーナさんと、ハワイ大学の学生さんも3名参加してくれました。アンスリウムはハワイの代表する切り花で、色とりどりのアンスリウムが所狭しと並べられており、目にも鮮やかです。ここから世界中に向けて切り花が輸出されており、手際よく箱詰めされた商品が次々と出来上がっていました。

グリーンポイント・ナーセリーズ

 私たちの見学のために、タノウエ社長自らガイドしていただけました。わかりやすく、且つ、時にユーモアを交えて熱心に説明していただき、感謝の言葉もありません。

タノウエ社長

 いよいよ明日は英語プレゼンの日です。最後の仕上げをするべく、私の監督するチームの3名は、夜、ホテルの私の部屋に集合して練習会を行いました。出発前は全然練習ができておらず、どうなることかと心配していましたが、土壇場の頑張りで何とかものになってきていました。これなら明日は何とかなると期待が持てる仕上がりです。練習会の後、パパイヤ農園でもらったパパイヤを4人で食べました。ものすごく甘く、おそらく日本では食べられない、完熟したパパイヤでした。その糖分で3人ともぐっすり眠れたことと思います。

(農学科・岩堀)


 

海外農業体験実習(ハワイ)4日目(829日)

 ついに英語プレゼンの日がやってきました。この実習で最大の山場といっても過言ではありません。3チームがそれぞれプレゼンを工夫し、いかにアイデアを練ってきたかが問われる時です。午前中はホテルで最終調整を行い、中川先生の部屋で最後の発表練習を行いました。午後ホテルを出発し、昨日のハワイ大学の会場に再び向かいました。緊張が高まります。

醤油チーム

 最初のチームは、ハワイと日本の醤油の違いについて発表しました。それぞれの醤油の歴史、製法、風味の違いについてプレゼンを行った後、ロクサーナさんとジョンさんに実際にテイスティングしてもらい、その違いを実感してもらいました。お二人は「全然違う!」と驚いておられました。

醤油テイスティング

 次のチームは、ハワイと日本のアンスリウムの違いについて発表しました。栽培法、地域、価格、利用法について説明があり、最後に福島で行われている粒状プラスチックを土壌代わりにして栽培する方法について紹介がありました。ジョンさんもアンスリウムの栽培については実績をお持ちですのでいくつか質問されていました。

アンスリウムチーム

 最後のチームは、ハワイと日本の食用エビの違いについて発表しました。種類、産地、利用法の違いについて解説し、日本では普段の食用のほか、祝祭用にも使われるという文化的な違いについて説明がありました。イセエビ料理、そしてハワイ名物のガーリックシュリンプの写真は非常に皆の食欲をそそりました。

エビチーム

 今回の実習では3つのチームの発表を聞きましたが、どのチームも興味深い内容に仕上がっており、ロクサーナさん、ジョンさんからもお褒めの言葉を頂きました。私自身も知らなかった内容が多く、各チームともよく調べ上げたことに感心しました。出発前の状態からは見違えるような進歩があり、教員一同無事終わったことにほっとしました。

 プレゼンの後はカカオ農園の見学を行いました。当初はUSDAの研究施設見学の予定でしたが、先述のようにセキュリティ関係の変更でUSDAの施設に入ることができなくなってしまいましたため、ロクサーナさんにカカオ農園の見学を提案されました。カカオ農園では広い敷地内を電動カートに乗って移動。皆童心に帰ってはしゃいでいました。カカオがたくさん実った樹の前で従業員さんの説明があり、大きな実を割って中身を見せてくれたりしました。

カカオ農園

ふと気づくと樹の幹にカカオの花が咲いていました。これがあのような大きな実になるとは信じられないような小さな花でした。

カカオの花

 カカオの説明を受けた後は農園ショップに移動、チョコレートの爆買い大会となりました。

レストランでメニューを見ている人たち

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 この日の実習を終え、教員一同は夕食を共にしながら反省会を行いました。英語プレゼンという最大のイベントが無事終了し、安堵の気持ちで飲むハワイの地ビールはこの上ない美味しさでした。

(農学科・岩堀)