トマトの実習が始まりました。

今年も農学科の3年生の実習が始まりました。私の担当回では昨年度、単為結果性を判別したトマトの栽培を行いましたが、牧農場の水はけの悪さにより多くの個体が根腐れしてしまいました。今年度はその対策として、一部のトマトを湛水に強いナスに接ぎ木することにしました。トマトとナスは種が異なりますが、同じナス科で接ぎ木することができます。

接ぎ木を行う時に台木が穂木より細いと良くないので、穂木より台木を先に播種します。今回はトマトの台木ではなくナスの台木なので、トマトとナスの成長速度の差も考えなければいけません。「まぁ、1週間くらいでしょう!」と言って台木の播種を行いましたが、実際にやってみるとナス台木の成長が思った以上に遅く、栽培条件を変えることでぎりぎり実習当日までに接ぎ木できるサイズになりました。

初回の実習は DNAマーカーによる遺伝子型の判別実験です。実験はDNA抽出→PCR→電気泳動の流れで行います。おそらく3年生の皆さんはこれらの用語をどこかで聞いたことがあったと思いますが、自分で実験してみることで、今まで他人のようだった言葉が少し身近になったのではないでしょうか。

トマトの葉からのDNA抽出

PCRの準備中

電気泳動装置のアガロースゲルにPCR産物を注入

電気泳動後のゲルを撮影

DNAマーカーによる単為結果性の判別実験から1週間後にトマトの移植と接ぎ木を行いました。実習前は早く終わりすぎることを心配していましたが、逆に時間がかかりすぎて途中で焦ってしまいました。野菜研の4回生もTAとして手伝ってくれて、なんとか全員分の移植と接ぎ木を終えました。今日で接ぎ木から1週間です。どんな結果になるかとても楽しみです。


トマトの苗とナスの台木を移植

接ぎ木後の苗の様子

野菜園芸学研究室 滝澤

第8回 生命科学セミナー

 4月8日 に 第8回 生命科学セミナーを開催しました。

講演者は、3月末から5月までサバティカルで滞在されている カリフォルニア州立大学リバーサイド校のZhenyu Jiaさんです。

https://jialab.ucr.edu/

タイトルは Integrating Chromosome-Scale Haplotypes in Genome-Wide Association Studies です。

現在のGWASから一歩進んだ解析技術を開発されており、その辺のことをボンヤリしかわかっていない人(私)でさえ、理解しやすい説明で、研究の重要性・独創性が理解できました。


                  (セミナーの様子)


セミナー後は、ピザを食べながら交流しました。UC Reversideは、植物の分野が盛んだそうなので、龍谷の教員や学生さんも、向こうの大学と共同研究などが開始できたらなと思います。


                  (ランチ会)


                                    (塩尻)


新入生 交流会 牧農場遠足

 新入生の交流をはかるため、生命科学科1年生全員で、龍谷大学の牧圃場まで遠足にいきました。

最初に、学科長の挨拶からはじまり、入門ゼミクラスごとにあるきます。

              (9号館ロビーに集合しました)

(瀬田公園を横切ります。広場では”かぶれん”が練習をおこなっていました。なんと、帰り道のときもまだ、練習をやってました。すごっ)

到着後、農場助手の吉村さんに圃場の説明をさらっとしてもらいました。そして、班に分かれて座り、お弁当を食べました。
                (お弁当たべてる様子)

その後、各自、農場を散策し、またクラスごとにわかれて、瀬田学舎まで帰りました。
少し風が冷たかったですが、天気もよく遠足日和でした。交流できたかな?
久しぶりに長距離あるいた人もいるようでしたが、園児は余裕で完走してました。  
来週からの入門ゼミもよろしくお願いします。

                  (別役クラス)

                  (塩尻クラス)

                  (浅水クラス)

                  (小野木クラス)

                  (竹中クラス)

 (土岐クラス)
                            
                               (塩尻)


園芸学会令和7年度春季大会に参加しました。

 3月20日と21日に日本大学で園芸学会令和7年度春季大会が開催されました。野菜園芸学研究室からは修士1年生の董さんと4年生の則信くんがそれぞれ,「単為結果性トマト‘べにすずめ’の種子生産阻害要因の解明」と「トマトの植物体の形態に関与するQTLの同定」という内容でポスター発表してくれました。董さんも則信くんもたくさんの人に質問してもらえて、とても良い経験になったようです。董さんはあと1年あるので、ぜひ学会でもらったコメントをこれからの研究に活かしていきましょう。



 さて、私事になりますが、このたび「トマト等の単為結果に関する研究」という内容で園芸学会奨励賞を頂きました!単為結果は受精なしに着果と果実肥大が誘導される現象で、種なし果実の生産や着果処理の省力化、高温などの不良環境条件下での安定生産を可能にします。
 タイトルに「トマト等」とあるように、トマトから研究を始めて、カボチャに手を出し、お次はイチゴとナスだという感じで「等」の種類を増やしながら研究を進めてきました。これからも果菜類の単為結果に関する研究を続ける予定ですので,興味がある人はぜひ野菜園芸学研究室の門を叩いてください。


野菜園芸学研究室 滝澤

研究成果が論文として公開されました

Nature Ecology & Evolution誌に、以下の研究論文が掲載されました。シアノバクテリアという、水中に棲む小さな植物プランクトンの進化に関する研究です。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, テキスト

AI によって生成されたコンテンツは間違っている可能性があります。


関係する5大学でプレスリリースをしました。
研究の概要は以下を見てください。共同なので、内容はどれもほぼ一緒です(笑)。https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-16191.html
https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2025/02/-25.html
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2025-02-19
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/02/press20250219-01-green.html
https://www.isct.ac.jp/ja/news/k4le4oaiw0a2

とても広範囲な専門分野の方が関わっている研究ですが、私はこの中で「緑の海仮説」について、実際の海洋環境での検証に関わりました。太古代の環境に類似すると考えられる溶存鉄濃度の高い鹿児島県の硫黄島周辺の沿岸海域で、シアノバクテリアの生物量を調査しました。その結果、緑のスペクトルが卓越した水深で、緑色光を吸収するフィコエリスロビリンを持つタイプのシアノバクテリアの比率が、他の水深より高いことが分かりました。

本成果は生物の進化を知る上で重要な知見であり、また惑星における生命活動の新たな指標となる可能性があります。NASAの宇宙生命探査チームも注目してくれているそうです。地球の目に見えない小さな微生物が、宇宙の新たな生命の探求へとつながる可能性があることに驚きます。

吉山洋子