湖南市天然記念物「ウツクシマツ」の保全活動

 湖南市のウツクシマツは根本から何本か分岐する樹形が面白く、東海道石部宿の名物として、東海道五十三次に描かれたりしている「天然記念物」です。江戸の頃から地域の人たちによって管理維持されてきましたが、近年の松枯れ病によりその本数を大きく減らしました。

東海道五十三次 美し松(Wikipediaより)


湖南市ではこれに対応するべく、対策委員会を立ち上げ、(1)松がれを防止すること、(2)新しく芽生えを促し次世代を育てること、(3)観光などに活用すること、を目指してきました。私がこの委員会に参加したのは(1)の対策案が出揃い、初期の対策の目処が立ちつつある頃でした。

(2)の新しい芽生えを促すには、地表の栄養分を剥ぎ取り、土壌を貧栄養状態にすることが解決策の一つです。マツは少し変わった植物で、栄養が豊富な土壌では発芽しません。確かに自然環境ではガレ場などの貧栄養なところに生えていますし、これまでの栽培試験でも表土の栄養のある層を剥げばいいことが確認できていました。

ここ3年くらい、「樹木医会」の指導のもとで「近江の松を守る会」の方や、京都翔英高校の学生さんたちの地道な表土を剥ぎ取る活動で、期待通りに剥ぎ取られたところに新しく芽生えが出始めました。

私の研究室の学生で、昨年この活動を手伝ってくれた者が、この芽生えを動画撮影し、湖南市の広報活動に利用できないかという提案をしてくれました。幸い、龍谷大学の自主的な学生の活動を応援するプログラム「龍谷チャレンジ」に採択され、活動費を手に入れたので、撮影機材の購入にあてました。

本日はその表土を剥ぎ取る活動日でした。

天然記念物のウツクシマツの全貌、この斜面で作業です

京都翔英高校の皆さんの活躍で表土が剥がされていきます

表土がないところではこのように多数の芽生えが見られます

一番小さな芽生えにカメラをセットしました
本日一番若い芽生え、これの撮影に挑戦します


京都翔英高校の10名ほどの学生と松を守る会の方達と、2時間弱ほど表土を剥ぎ取りました。その後、一番若い芽生えを探し出し、動画撮影をセットしてみました。

表土を剥ぎ取る作業は単調で、肉体労働です。作業途中のおじさんたちとの会話が弾みます。今年の高温でイネの収量が下がりそうだとか、新しい品種を試したとか、栄養が多いいと徒長するとか、普段から植物の様子を観察している人だなというのがよくわかります。高温での徒長という現象を中心に温度の感知を研究しているのですよと、意外にも私の研究内容を話したりしました。

研究室で実験するだけでも実験は進むのですが、どうにも外に出てみたい、外の人と触れ合う中で気がついたことを共有したい、そう思います。そういう性分なのでしょうか。こうした時間があることが今の私には大切です。

簡単にうまくいくかどうかわかりませんが、動画が撮れれば、広報材料として湖南市に提供したいと思います。

作業に関わったみなさま、お疲れ様でした。手伝ってくださった京都翔英高校のみなさま、ありがとうございました。

(古本)

園芸学会の全国大会に参加してきました。

 113日から4日に琉球大学で園芸学会令和6年度秋季大会が開催されました。野菜園芸学研究室からは大学院1年生2名、4年生4名(+滝澤)の計7名が参加しました。大学院生1名は口頭発表、その他、6名はポスター発表と7名全員で発表しました。「沖縄で学会やでー、学会楽しいよー。」と言って学生を積極的に誘ったのですが、準備段階に入って「あれ、これは準備がとても大変なのでは。」と気付きました。思った通り準備は大変でしたが、学生の皆さんがそれぞれ頑張ってくれたおかげで発表の前週には全員分のスライドとポスターが完成しました。

トップバッターは大学院1年生の永井君、中玉トマト品種背景での単為結果性遺伝子の効果について口頭発表しました。質疑応答ではなかなか難しい質問が出て、少し困っていましたが、発表の方はスマートにこなしてくれました。質疑応答に関しては、ぜひ次の学会発表でリベンジしてもらえればと思います。

発表直前の様子

ポスター発表に関しては、自分の発表に加え聞きたい発表もたくさんあったため、遠めで見守るだけでしたが、あとから話を聞くとどの発表もたくさんの人が聞きに来てくれたようです。同じ分野で研究している学生や教員、研究員など様々な人から質問を受けることで、質疑応答の対応力を磨けたのではないかと思います。






次の園芸学会の全国大会は日本大学で来年の3月にあります。次回,発表予定の学生さんは準備頑張りましょう!

野菜園芸学研究室 滝澤

食料農業システム実習「ドイツスタディツアー」(後半)

ドイツスタディツアーの後半です。

4日目は、ヴァルトキルヒから車でカンデル山を越え、ザンクト・ペーター村へ。その途中で、風力発電と景観についての問題について説明を受けました。風車のある放牧地の風景は現代のドイツらしい景観ともいえますが、議論もあります。ザンクト・ペーター村では、木質チップによる温水と電気の供給(コジェネレーション)について説明を聞き、設備を見学しました。黒い森の豊富な森林資源を利用することで二酸化炭素排出削減を行う取り組みです。


その後、別の村に移動し、多角的経営を営む酪農家を訪問しました。ここでは、酪農の他、食事や宿泊の提供を行う、いわゆるアグリツーリズムを見学・体験、農家の伝統的な昼食をいただきました。




5日目の午前は、フライブルク近郊の森を歩きながら、ドイツの多機能森林業について学びました。午後は、コーディネーターの池田さんによるまとめのセミナー。4日間の見学の感想を出し合いました。



6日目は、ローカル線を乗り継いで、黒い森野外博物館の見学へ。ここは、黒い森地方の伝統的な農村の暮らしを保存・再現しています。農家だけでなく、水車を使った粉挽き、製材、鍛冶なども展示しています。




7日目は、午前にヴァルトキルヒを出発し、列車でバーゼルへ。バーゼル市内を少し観光した後、夕方、バーゼル空港から帰国の途につきました。この日も暑く、ライン川でたくさんの人が泳いでいました。


5年ぶりに実施したドイツスタディツアーでしたが、天候にも恵まれ、盛りだくさんのスケジュールを順調にこなすことができました。環境・まちづくり・農業・林業と、さまざまなことを学びましたが、見学先や街で出会ったドイツの人たちとのコミュニケーションに強い印象を持った参加者も多かったようです。5年前に引き続き見学先のコーディネートや通訳をお願いした池田憲昭さん、そして見学先で懇切に説明いただいた方々にあらためて御礼申し上げます。                             (竹歳一紀)

花山天文台の見学

  生命科学科と農学科で開講している地学実験の授業で、京都大学の附属施設である花山(かざん)天文台を見学しました。花山天文台は大学天文台として国内で2番目に古い歴史をもち、特に太陽分野の研究が充実されています。また、学校関係者だけでなく一般市民への天文教育の普及活動も盛んで、アマチュア天文学の聖地と呼ばれています。

当日は研究職の方々が施設内を丁寧に案内してくださり、今月観測された大規模太陽フレアのデータや、太陽の分光スペクトル観測望遠鏡、迫力ある45cmの屈折赤道儀など、とても興味深く見聞きしました。天文分野は理科教育においても重要な位置づけのため、理科の教職課程を受講している学生らにとって大変貴重な学びとなりました。今回得られた知識は、天体観測の実習でも活かされることと期待しています。


 




現役では日本最古の望遠鏡

 






屈折赤道儀には著名人のサインも

 








花山天文台の皆さま、お忙しい所ありがとうございました。

(中田)

生命科学科 球技大会 「古本杯」

 10月3日に体育館を借り切って、生命科学科の生徒と教員とで、球技大会を行いました。

競技は、バレーボールとドッチボール。

土岐研究室のみんなが運営を行い、とてもスムーズに進行されました。

今年の優勝は永野研究室。バレーでもドッチボールでも優勝するダブル優勝でした。

必死な様子や楽しむ様子は普段の生活ではなかなか見れないものですね。新しい側面を知ることができたきがしました。

スポーツの秋、食欲の秋、そして卒論直前のデータの秋。

これからのみんなの活躍を楽しみにしています。

(古本)