学外活動再開!

  新型コロナウイルスによる脅威は依然として続いていますが、少しづつでも研究活動を続けてゆく必要があります。本学では6月中旬より学外活動が再開され、活動申請の許可を受けて野外調査や施設見学などが可能となりました。

 岩堀研では、卒業研究として主に植物培養室で植物寄生性線虫の接種試験を行っていますが、野外における調査も積極的に行っています。今回は、線虫抵抗性候補遺伝資源のナスの定植(甲賀市甲賀町)と、茶畑の線虫相調査サンプリング(甲賀市信楽町)に行ってきました。

  ナスの定植             おみやげのキュウリ

 植物培養室での線虫接種試験で優秀な成績を収めた(線虫が寄生しなかった)ナスたちは、最終試験として線虫汚染圃場に植え付けられます。野外で抵抗性が発揮できれば、有力な線虫抵抗性遺伝資源候補となります。今年も油日アグロリサーチさんにお世話になり、おみやげにキュウリをいっぱいもらいました。

  茶畑での土壌採取            斜面がけっこう辛い

 茶畑のサンプリングは大変です。茶樹の間の狭い通路を歩き、しゃがんで株元の固い土を掘らなければなりません。また、かなりきつい傾斜を上り下りするので、気を付けていないと滑って転びそうになります。この調査地には100年以上昔に植えられた在来品種の茶畑が残っており、面白い線虫相の結果が得られると思っています。(応用線虫学研究室:岩堀)

ヒシで土壌改良:卒論研究を論文として公表

 土壌学研究室2期生の卒論研究の内容が、日本土壌肥料学会誌第91巻第4号に掲載されました。この論文は、「ヒシ(Trapa Japonica)茎葉を用いた団粒形成による灰色低地土の土壌物理性の改良」というものです。

 龍谷大学の堂圃場の土は水はけが悪く、畑にするには難儀な土壌です。この土壌に堂圃場近くのため池で採取したヒシの茎葉を添加して「土壌団粒」を作り、土壌の粒度分布を変え、土壌の排水性を改良することに成功しました。土壌団粒は粘土鉱物とフェノール類を含む有機物(ここではヒシ)の組み合わせによって様々な性質のものが形成されますが、ヒシを使うと強度が高い良い団粒が形成されました。そして、この団粒のおかげで排水に46時間以上かかっていた土がわずか58秒で排水可能になるまで改善されました。
 この研究は、卒論生二人の「土壌改良をしたい」という熱意で突然始まったので、使用した測定装置も手作りです。また、団粒強度の測定や粒度別団粒判定も、滴下装置や実体顕微鏡の前に何時間も陣取り、目視で数えて得た気合いの入った貴重なデータです。

 ついでながら、ヒシに興味を持った学生は、たらいでヒシを育て、ヒシの実を使ったヒシ茶を研究室全員に振る舞ってくれました。彼曰く「健康に良い」のだそうです。卒論ファイルにも「ヒシ♡」の文字が。龍大オープンを征した猛者なのですが、意外とチャーミング♡でした。(土壌学研究室:森泉)


堂土壌(対照区左写真)にヒシ茎葉を添加するとわずか10日目には団粒が形成されました(ヒシ区中央写真)。


2018年の天水下池での「ひし」の回収風景。ため池では三浦研と共同でいろいろな調査を行っています。枠内はたらいで育ったヒシ♡の花

日南高校(宮崎県)の生徒たちとオンラインミーティング

 日南高校では総合学習の一環として、グループに別れて課題研究を行っており、その中の1グループが耕作放棄地でのイシクラゲ栽培を試みています。そのグループの生徒たちが、龍谷大学農学部で行なっているイシクラゲ(姉川クラゲ)研究のことを知り、イシクラゲ栽培に関してアドバイスをして欲しいということで、9月1日(火)、Zoomを使ってのミーティングが実現しました。
 まず、龍谷大学農学部で行なっている研究内容を紹介し、その後、生徒たちからの質問を受け、アドバイスを行いました。目を輝かせながら聞いている生徒たちの姿をみると、私も自然と力が入りました。後に、「自分たちの取り組みの意義(可能性)をより深く理解したようだ。科学の面白さに気づき始めたように感じる。」と担当の先生から聞かせていただきました。
 今後も、リモートではありますが、日南高校の生徒たちをサポートしていきたいと考えています。(玉井)

(下の写真では、撮影のためにマスクを一時的に外しています)
日南高校の生徒の皆さん

パン酵母の総説

 パン酵母の総説

 

東京聖栄大学の北村義明先生から、「アグリバイオ」誌(北隆館)への執筆の機会を頂きました。「現代日本の発酵食品と微生物」という特集の一つとして、以前から手がけているパン酵母に関する研究についてまとめました。以前、出版した論文等をもとに執筆しましたが、中途になってしまっている研究がたくさんあるなと再認識しています。

この特集には、麹菌、納豆菌、乳酸菌などの発酵微生物に関する最新の成果がまとめられています。ご興味のある方はご一読頂ければ幸いです。


(島)