京カレッジ科目 学び直しに感じたこと

 私の授業のうち「植物生理・生化学 I」は、京カレッジ科目という龍谷大学以外の方も受講が可能な科目に指定しています。農学部には高校で物理と化学を選択し、生物を履修していなかった理系学生や、文系でそもそも生物を履修していない者もおり、この科目は彼らにもわからせなければならない最初の専門科目に位置付けられています。一方、生物を履修していた学生には、大学の学びが高校で習ったことの「焼き直し(復習)」と思われても口惜しいですので、説明する難しさの難易度の按配をどこに設けるかで悩むことが多い授業です。

授業には、この制度を利用して時折外部の方が受講されます。多くの場合1、2名で、今年は、高齢の方が1名受講されました。

生物学の進展は早く、高校の教科書もかなりの頻度で改訂されます。特に近年は、最先端の知識を盛り込むことが多く、少し前なら大学で教えるレベルだぞという内容をすでに高校で紹介されていたりします。随分前の生物の知識をベースにする方となると、最新の高校のレベルでもついていくのに大変だろうと思います。

そのかたは、毎回熱心に授業を聞き、毎回行っているコメントシートにも普通の学生とは一味違ったコメントを残し、学びを楽しんでいるという印象を受けました。もちろん、理解できないところもあるようで、教科書の記載部分を直接尋ねてきたり、復習用に録画している授業動画を活用している様子でした。

定期テストはしっかり解答され、評価は合格で、私も嬉しいと感じました。

このかたが、次年度には、引き続きの科目「植物生理・生化学 II」を受講したいという希望を示されました。3年生に配当の科目で、難易度を最大に上げての授業なので、大丈夫かなと心配ですが、受講を勧めました。京カレッジ科目には指定されていないので、科目等履修生という扱いで、受講にお金がかかります。

なんか、こんなに受講を楽しみにしてもらえるって、ありがたいなと思います。

社会人の学び直し(リカレント教育)、リスキリング、など掛け声は世の中にありますが、本当に学びを楽しんでいる(当然苦しんでもいる)様子に、学びの基本を見る様でした。

授業後のコメントシートの一例。
毎回、180名近い学生のコメントを回収し、
次の授業の冒頭で解説します。
質問や、コメント、間違って覚えていることなど
いろいろですが、それぞれに答えることで、
復習の効果、他の学生の視点を共有する効果があります。
なお、152番がそのかたのコメントです。
(古本)