ハワイでの農業体験実習2日目も澄んだ青い空です。
午前中はコナにて、2軒のコーヒー農園を見学します。一軒目は比較的小規模、家庭的な雰囲気の村松小農園です。海沿いのホテルから、山に向けて走ります。
走り出して間もなく、ツアーガイドのクミコさんが車を止めて、ハワイ固有種の白い花、マイアピロを紹介してくれます。ほんのり甘い香りがする美しい花です。周りの木々は外来種ばかりの中、この一角に一本だけ残っているそうです。
道が広く、傾斜がゆるいので実感がわかないのですが、昨日の内田農園さんと同じく、村松小農園さんも標高400mほどの高さにあります。コーヒー栽培に適した雨量と、気温が得られる標高に農園が集中しているそうです(この後で訪問するUCCハワイさんも、ほぼ同じ標高です)。
村松農園さんでは、コーヒー豆収穫用のカゴを腰につけて、収穫体験をさせて頂きます。赤い実を選び取り、カゴに入れます。熟練した方だと、カゴに実が落ちる音が雨音のように聞こえるくらいの速度で採り続けるそうです。高いところの枝は、グァバの枝で作った「7」の形をした器具を引っ掛けて手が届く高さに下ろします。器具の端に取り付けられたロープを足で踏むので、両手を使って収穫できます。
30分ほど収穫して7人で2kgほど採れました。が、これを豆にすると200gほどにしかならないそうです。コーヒーの有り難みがわかります。今日からコーヒーを飲むときも「いただきます」と言うようにします。収穫後は、眺めの良いバルコニーで、海を眺めながらコーヒータイムです。淹れたてのコナコーヒー、アイスコーヒーが美味しいです。バナナも完熟で最高。
そして「生の」マカデミアナッツ。普段食べるのは、ローストしたものですね。こちらでは、殻を割って生のものをいただきます。収穫して時間が経つと、酸化して味が落ちるから、生マカデミアナッツは貴重だそうです。絶品。
村松小農園さんで心を癒やされ、次に向かうのはUCCハワイさん。自然環境や労働環境などにも配慮したGLOBAL GAPを取得された、規模が大きい農園です。GLOBAL GAPの取得がいかに大変なことなのか、システム学科の中川先生から解説いただいて、UCCさんのすごさが実感できます。日本のUCCの社員さんが研修に来られるだけでなく、個人でカフェオーナーをされるような方も勉強に来られるような場所です。
UCCハワイさんでは、焙煎体験をさせて頂きます。石原は、見様見真似で焙煎を覚えてラボの学生と龍谷祭でカフェを出したりしますが、プロに習うのは初めてです。カッコいい5連の焙煎機が2台あります。内部でプロペラが回転してムラなく焙煎が進み、豆の色が変わっていきます。
仕上がった豆は、焙煎機から素早く冷却箱に移して余熱を取ります。十分に冷えたら100gずつパック詰めして、オリジナルラベルを貼って完成です。お土産が出来ました。その後はカッピングコンテスト受賞コーヒーなど、何種ものコーヒーを試飲させて頂きます。チョココーティングした豆も美味しい。
次に海岸まで戻り、ビーチでランチを頂いた後、少し海水浴を楽しみ、水産を学ぶ時間になります。ビッグアイランドアバロニさんは、海洋深層水を使ったアワビ養殖をされています。
天然のアワビの漁獲量は10分の1以下になっており、海産資源を持続供給するためには養殖が非常に重要です。いろいろなサイズ(月齢)のアワビを見せて頂き、成長に時間がかかることが理解できます。アワビは、カタツムリの仲間だと初めて知りました。アワビの赤ちゃんでも、ツノ、ヤリがあります。貝殻の穴の裏には、エラがあり、水を出し入れして呼吸しているそうです。
この後、ハワイ島の西から東へ縦断ドライブをします。ハワイ島の面積は四国の半分ほどで、ハワイ諸島のすべての島を合わせたよりも大きいです。ハワイ島は5つの火山でできています。近年噴火してニュースで耳にするのは、キラウエア火山ですが、今日、通過するのは、ハワイ諸島最高峰マウナ・ケアの中腹です。裾野が広いので穏やかに見えますが、4000mを超える火山です。大きすぎてサイズ感がバグること間違いなしです。その中腹、と言っても2000mを超える標高の中、カルデラのような風景の中を進みます。
マウナ・ケアの大きさだけで既に意味がよくわからないですが、ハワイ島にはもう一つ4000mを超える山があります。マウナ・ロアです。高さはマウナ・ケアよりも36 m低いものの、地球で最も体積の大きい山です(富士山の53倍!)です。スケールが大きすぎます。このスケール感は、実際に現地に行って体験してみてほしいです。
午後遅めの時間になり、ヒロに入りました。ハワイ島の西側と東側で植生が違うことが、僕でも感じられます。緑が多く、溶岩でできた島という印象が弱くなります。ヒロの方が降雨量が多いそうです。
この日の夕食は、ウェルカムパーティーを開いて頂きました。現地の日本人の方々に素晴らしいおもてなしを頂いて、どのようにお礼を伝えたら良いのか、わからない気持ちになりました。昨年もこの海外農業体験実習を引率された古本先生が苦慮してお土産を考えておられた気持ちや、海外にいらっしゃる日本の方がどのような気持ちで我々に接して下さっているのか痛いほどわかりました。
(石原@食品栄養)