琵琶湖の水草堆肥で美味しいビールを作ろう!

 彦根麦酒(https://hikonebrewing.jp)さんとの共同研究で、琵琶湖の水草堆肥を利用したビール麦の栽培に挑戦します。将来的には、琵琶湖の環境を守りつつ、美味しいビールができることを期待しています。

まずは研究圃場の整備からです。想像以上に石が多く硬い土壌でしたが、学生たちの頑張りによって立派な畝ができました。

次は、播種(種まき)です。挑戦はまだまだ続きます。

草刈り、石拾いからです

農業機械の力を借りないと無理です

畝立て作業

きれいな畝ができました

こんな美味しいビールができるはずです
(植物栄養学研究室 玉井)


基礎生物学実習(10/11,12)

後期の植物生命科学科では、2年生の実習授業が始まりました。

授業期間を通して生物・化学実験で使う基礎技術を身につけます。

 

1011日、12日の基礎生物学実習(別役先生 担当回)では、光学顕微鏡を使った植物組織の観察を行いました。

1日目は、顕微鏡の歴史や種類、基本原理を学んだ後、実際に光学顕微鏡を使ってエンバクの気孔の観察を行いました。

 

上手くピントを合わせることができたでしょうか?

 

葉そのものでは組織が厚すぎるため、細胞が重なり過ぎて顕微鏡の透過光を遮ってしまいます。

そこで、表皮をめくって気孔を観察します。

 

葉にカミソリを軽く押し当て、薄皮一枚を残して切れ込みをいれ、そこを取っ掛かりににして表皮をめくります。

葉から上手に表皮をめくるのは、なかなかテクニックが必要です。

上手な学生さんがデモをしてくれました。

 

上手にプレパラートを作り、気孔を観察できました。



2日目は、カイワレで観察を行いました。

今度は、葉の裏にボンドを薄く塗り、乾いたらセロハンテープで剥がし、それをスライドガラスに貼ったものを観察しました(スンプ法といいます)。







最後に、透明化液を使って色素を抜いたカイワレの葉を使い、維管束を観察しました。


実習を通して、光学顕微鏡の使い方をマスターできました。


                                (辻村真衣)

卒業研究の中間発表

 卒業研究がいよいよ終わりに近づきましたので、総合演習Ⅲの時間に中間発表を行いました。「酵素チーム」の最後の頑張っている姿と発表様子です!



香気生成酵素活性の測定

消費者の立場からみて、購入後のみかんの品質についての発表です


香りに関する発表です

(収穫後生理学研究室 ウェンダコーン)

日経バイオテク オンラインの記事紹介(植物生命・辻村)

 2021106日の日経バイオテク オンラインに、東京大学の有村准教授のグループによる植物のミトコンドリアゲノム編集の記事が掲載されました。

東京大の有村准教授ら、ゲノム標的部位一塩基置換をミトコンドリアでも達成:日経バイオテクONLINE (nikkeibp.co.jp)


この記事中には、私が9月の日本育種学会で発表した「mitoTALENを用いたナスの細胞質雄性不稔遺伝子ノックアウトの試み」も紹介されています。

ゲノム編集技術は、ゲノム中の狙ったDNA配列を正確に改変することができる技術です。

放射線などで突然変異を人為的に誘発し、DNA配列を変化させる技術は、以前より植物育種の分野で用いられていましたが、「狙ったDNA配列」だけを変異させることが難しく、ゲノム編集技術はその点が画期的です。

国内では、本学植物生命科学科の土岐先生が礎を築かれてきました。


植物の細胞には、核ゲノムのほかにもミトコンドリアと葉緑体が独自のゲノムを持っています。

有村先生のグループは、ゲノム編集を行う遺伝子を核に入れ、そこから発現した遺伝子産物をミトコンドリアに輸送させて内部のミトコンドリアゲノムを編集する技術を開発されています。



2019年に発表された「mitoTALEN」では、ミトコンドリアに輸送されたTALEN遺伝子の産物が、ミトコンドリアゲノム中の標的配列(遺伝子など)を切断します。

切断された配列は、末端から分解されたあと、ゲノム中の相同配列を使って修復されます。修復後のゲノムには標的配列が欠損していますので、元々の機能が損なわれます(これをノックアウトと言います)。

一方、記事に掲載されているゲノム標的部位一塩基置換では、シチジンデアミナーゼという酵素を利用して、シチジン(C)をチミン(T)に置換しています。

これによって、標的配列の塩基を変えることができ、より精密なゲノム改変が可能になります(mitoTALECD)。


この技術を利用できる良いモデルに「細胞質雄性不稔」という現象があります。細胞質雄性不稔は花粉が正常に作られないことで自家受粉ができず、種がつかなくなる現象です。

この原因となる遺伝子は、ミトコンドリアゲノムにあることは知られていますが、これまでの技術では、その配列を特定することは困難でした。

そこで私は、ミトコンドリアゲノム編集技術を使って、雄性不稔遺伝子の候補を欠損させようとしています。

この実験で花粉が再び作られるようになれば、候補が本当に原因遺伝子であることが証明されるというわけです。

 

葉緑体やミトコンドリアのゲノムには、光合成や呼吸など植物にとって重要な遺伝子がコードされています。

ゲノム編集技術はこれらを改変できる新しい技術として注目されています。


                                  (辻村真衣)





NHKのど自慢への挑戦に想う

 10月17日の大津での「NHKのど自慢大会」に、古本研究室所属の3年生の学生が出場しました。

古本の演習では、毎回、1週間の間にあった出来事を紹介しあいます。2週間ほど前に、当該の学生から、NHKのど自慢の大津予選への書類選考を通過したこと、今はその練習をしていることなど、話を聞いていました。

恥ずかしそうに、自分の夢とそれへの取り組み、そして、その一歩としてののど自慢大会への挑戦を話す様子を感心しながら聴きました。

出場することへの恥ずかしさなど、参加へのネガティブな要素もあったろうに、予選への参加を試みたこと、私は、その挑戦の姿勢に大いに心打たれました。

さて、私自身は、どうでしょう。自らを振り返り、挑戦から逃げていることはなかったか、コロナ禍を理由に色々な取り組みに消極的になっていなかったか、研究成果を発信することに臆していなかったか、と考えました。

さて、学生の挑戦は身をむすび、本戦への出場を果たしました。

あいにく本日は出かけていてリアルタイムでの視聴はできませんでしたが、帰宅後、録画を視聴しました。緊張しつつ、一生懸命に歌い、アナウンサーに農学部所属であることを説明し、自分の将来の希望を話していました。立派でした。

ところで、彼女が選択した曲は、Zardの「負けないで」でした。この曲は、私が受験生の頃によくラジオから流れていた懐かしい曲です。ともすれば無味な受験勉強に取り組む背を押してくれました。

挑戦する学生の姿ほど、魅力的なものはありません。この学生を含む彼らとどういう研究をしようか、今の学生たちとの研究結果をどう発表しようか、研究・社会貢献に対する自分の挑戦をどう達成するか、その学生の姿を観ながら、もう一度思いを新たにしました。

教員は学生を教えるもの、というのがありきたりな姿でしょうが、実際には、学生の態度から教員が学ぶことも多いのではないかと思います。常に学び自分自身をリニューアルし、学生たちと前に進みたい、そう思いました。


(NHKののど自慢大会のテレビ画面を撮影)
(古本)



中川ゼミ ゲスト講師によるオンライン講義「食べ物から考える生き物のつながり」

中川ゼミ3年生を対象に、鹿児島県の重富海岸に位置する「くすの木自然館」より、浜本麦さんをお招きし、ゲスト講義を行っていただきました。


ゴカイ研究者でもある浜本さんのお話は
大変興味深く、また熱い語りに引き込まれました。


「食べ物から考える生き物のつながり:持続可能な未来とは?」をテーマとした講義では、普段わたしたちが「知ったつもりになっていること」や「気づいてはいるけれど、見て見ぬ振りをしていること」などに触れる話題が次々と示され、ゼミ生、教員共にも、改めて自らの行動を振り返る機会となりました。


なかでも、「SDGs」に関する学びは、大きな刺激となったようです。


<学生の感想より>

・SDGsについて、言葉だけ知っている、もしくは知ったふりをしていたことに、今回の講義を受けて気づきました。(中略)まず自分が「知らないということを知ること」が、SDGsに取り組む1番の入り口だと思いました。


・日本の現状を知って、今すぐにでもみんなが変わらなければならない深刻な状態なんだなと理解した。今自分にできることをやろうと思った。



SDGsを掲げる企業がなぜ多いのか、何もしてないのでは?という、普段から感じていた、しかし、とても鋭い質問も出ました。



また、「持続可能性」をより身近なところから考えるきっかけとして、浜本さんからは、


「ノルウェー産の安価なサーモンと三重県産のサーモンより高額なメバチマグロ、さて、あなたはどちらを買いますか?」


という質問が投げかけれました。




メバチマグロに多くの手があがりました。

食・農と環境とは、お互いに切っても切り離せない、ダイレクトに影響を与え合う関係にあります。


中川ゼミでは、地域マネジメントを大きなテーマとして、観光、食、環境という三つの視点を軸にしたグループに分かれ、活動しています。今回は特に、環境グループに学びの多い機会になったと思います。



最後に記念撮影




<学生の感想より>

自分たちが住んでいる美しい地球を守るために、自分たちができることをして、それを少しずつでも広げていきたいと感じました。全ての行動が無駄にはならないとおっしゃっていたので、なんでも果敢に行動していきたいです。



最後に、浜本さん、ありがとうございました。(中川)