【植物生命科学科で扱う実験生物】No.03 イネ

   植物生命科学科では、植物はもちろん、微生物から昆虫まで(中には動物を使ってのデータも!)さまざまな生物を実験に用います。このシリーズでは、各研究室で扱っている生物を順番に紹介していきます。

 多くの方は田んぼで育っているイネを見たことがあるかと思います。見たことがない!という方も、ごはんはよく食べておられるのではないでしょうか。古くから日本人の主食として親しまれてきただけでなく、植物の研究の世界でもイネ(Oryza sativa)は中心的な種の一つです。

(高槻市にあった旧・京大農場の田んぼのイネ。写真:斎藤大樹博士)

 田んぼでの農学的な研究の長い歴史があるだけでなく、実験室での最近の分子レベルの研究においても、よく用いられています。他の主要な穀物であるトウモロコシやコムギと比べて、実験室での分子生物学的な研究を行いやすい性質があるためです。

(様々な環境を再現できるインキュベータ内のイネ。写真:橋田庸一博士)

 情報生物学研究室では、田んぼにおけるイネの振る舞いを、最先端の遺伝子解析技術とデータ解析技術を使って研究しています。田んぼのような野外環境では、温度や光、害虫など様々な要因が複雑に変化しています。そこでの振る舞いを知るためには、様々な天候の日の様々な時刻におけるサンプルが必要です。そのために、実際の田んぼで、2時間おきに丸一日(昼も夜も)つづけて葉のサンプリングを行ったりします。なかなか大変で、他の研究者はあまりやらない研究ですが、それだけに新しい発見ができます。

(永野)













植物生命科学実験(6/15)

今週の3回生の植物生命科学実験(担当:別役先生)では、「植物の形質転換のためのアグロバクテリウム感染実験」を行いました。

今回の実習では、ベンサミアナタバコ(植物)に、アグロバクテリウム(細菌)を感染させることによって遺伝子組換えを行い、蛍光タンパク質を発現させます。

※使用する細菌懸濁液は遺伝子組換え生物のため、適切な拡散防止措置をとった上で行いました。


まず、アグロバクテリウム懸濁液の濃度を分光光度計(菌液の濁度などを分析する装置)で測定して、濃度を調整します。



次に、葉の裏側の気孔からシリンジ(注射筒)を用いて、適切な濃度に調整したアグロバクテリウム懸濁液を注入しました。






葉を挟む時の力の加減やシリンジの角度などが難しいですが、本番前に練習した甲斐もあり、スムーズにできました。

来週まで、植物培養室で育成します。葉が光っていれば成功です。

次回の結果が楽しみです。

                                    (中田)


教員研究紹介@入門ゼミ(植物生命)

 龍谷大学農学部では新入生向けに入門ゼミという授業があります。植物生命科学科では、6月4日、11日の2週にわたって所属教員の研究紹介を行いました。「農学部の植物生命」と聞いて思い浮かぶような「農作物」、つまり「植物」にまつわる研究のみならず、「酵母」や「昆虫」、「馬」、「藻類」、「岩石」、さらには「仏教」まで、植物生物科学科教員の幅広い研究内容が紹介されました。新入生の皆さんもびっくりしたのではないでしょうか。

現在、コロナ禍対策で、オンライン・対面併用の授業形態が続いています。特に新入生にとってはなかなか「大学」というものを感じる機会も少ないかもしれません。今回は一教員あたりおよそ15分と短い時間でしたが、それぞれの教員の個性あふれる語り口を通して、高校までの学習とは異なる、大学での学問の幅広さ・面白さの片鱗を感じてもらえたらと思います。改めまして、ようこそ、大学へ!3回生になったら研究室で会いましょう!






当日の様子。学生が少なく見えるのは、コロナ禍対策の座席指定・三密防止のためです。

(別役)



【植物生命科学科で扱う実験生物】No.02 シロイヌナズナ & ベンサミアナタバコ

  植物生命科学科では、植物はもちろん、微生物から昆虫まで(中には動物を使ってのデータも!)さまざまな生物を実験に用います。このシリーズでは、各研究室で扱っている生物を順番に紹介していきます。


多細胞免疫動態研究室(別役)では主にシロイヌナズナを用いて、植物と植物病原細菌の相互作用のメカニズム解明を目指した研究を行っています。

シロイヌナズナはいわゆる「モデル生物」の一つで、全ゲノム情報が解読されていたり、形質転換が容易だったりと、遺伝子の機能の研究にとても便利な特徴を備えています。植物免疫の研究に限らず、さまざまな植物研究に使われています。



二週間目くらいのシロイヌナズナです。


例えば、免疫応答に関わるある特定の遺伝子が、病原細菌に感染したシロイヌナズナ葉のどこで活性化しているか?ということを、シロイヌナズナだと簡単に「見える化」できます。


左;病原細菌に感染した植物(まだ見た目の変化はない)
右;特殊な仕掛けを使うと、同じ葉で特定の免疫遺伝子発現している細胞核が緑に見える


このように見た目でわからないような細胞状態の変化も「見える化」できます。免疫研究や顕微鏡観察に限らず、シロイヌナズナはモデル植物として植物のさまざまな研究に、さまざまな使われ方をしています。このシリーズでも、他の研究室からシロイヌナズナの話が紹介されるかもしれませので、楽しみにしていてください。


シロイヌナズナ以外にも、重要そうなタンパク質の機能解析には、ベンサミアナタバコと呼ばれるタバコの仲間を使ったりもしています。たくさんのタンパク質を発現することができるという特徴を持つ便利なモデル植物の一つです。ちょうど明日から始まる3回生の学生実習用にたくさん育てています。


まだ小さいベンサミアナ植物


多細胞免疫動態研究室(別役)では、植物以外にも大腸菌や植物の病原細菌など、細菌も数多く使っています。これら微生物の紹介はまたの機会に、、。

(別役)






資源生物科学実習でICT農業の可能性を学ぶ

  資源生物科学科では,3年生前期の木曜日と金曜日の午後から「資源生物科学実習A,B」という必修科目を履修します.この度,ヤンマーアグリジャパン様のご協力によって,ロボットトラクター(無人トラクター),直進アシスト機能付き田植え機,上空からの生育診断のための小型ドローン飛行について,それぞれ見学する機会を得ました.スマート農業の実証試験は,滋賀県をはじめいくつかの生産農家で行われていますが,実際に作動している無人の耕耘機やドローンによる空撮などを見る機会は少ないでしょう.履修生達は熱心にメモをとりながらオペレータの方々の話に聞き入っていました.

 当日は,ふぁーむ牧さんのご厚意で,オオムギ収穫後の圃場に各種機械類を搬入させて頂き,3班に分かれて見学しました.農業機械を用いた作業では労力そのものに加えて,正確さを要求されるストレスも多いですが,これらの機械の導入でストレス少なく作業できることや,各圃場の収量ポテンシャルを数値として評価できるなどの点に興味をもったとの感想を述べていました.一方で,価格的にはまだ高価である点や中山間地など小規模圃場への導入が課題であるなども意見も寄せられました.積極的に質問する学生も多く,ICT農業への興味の深さが感じられました.


 収穫ロボットや環境予測に基づくハウスの側窓や天窓の自動開閉,水耕液のpHや栄養分の調整など,AIICTを駆使した新たな農業のスタイルは,イネ,ムギ,ダイズといった土地利用型作物だけでなく,野菜,果樹,観賞作物などの園芸作物においても導入されています.「百聞は一見にしかず」ですので,チャンスがあれば,是非いろいろ視察してみて下さい.



(資源生物科学実習B担当 大門)