【植物生命科学科で扱う実験生物】No.05 線虫

 植物生命科学科では、植物はもちろん、微生物から昆虫まで(中には動物を使ってのデータも!)さまざまな生物を実験に用います。このシリーズでは、各研究室で扱っている生物を順番に紹介していきます。

 線虫は目に見えないため、普段の生活で意識することはないでしょう。ですが、実は身の回りに多く生息しています。土壌中で自分でエサを取る自活性線虫や、動物や植物の体内に寄生する寄生性線虫がいます。植物線虫学研究室(浅水)では、ネコブセンチュウやシストセンチュウといった、農業の重要害虫を扱っています。

 

 

 

 

サツマイモネコブセンチュウの2期幼虫 (0.5mm)

  


 

ダイズシストセンチュウのシストとよばれる殻の中の卵と2期幼虫

 

 

 

 

 植物寄生性線虫は「絶対寄生性」生物です。つまり、宿主となる植物がないと生きていけません。研究では、 宿主植物と線虫という、2つの生物種を扱っています。


 

 

 

 

人工気象室でトマトにサツマイモネコブセンチュウを感染させています。トマトが枯れているのは、感染の影響です。

 


 

 

 

 

 

 

圃場での緑肥植物(デントコーン)の栽培風景 


 

 

 

 実験室での研究を農場で活かしたいと思い、今年から牧圃場で緑肥植物の栽培を始めました。緑肥によって増える土壌微生物が植物寄生線虫の生息に与える影響を調べています。(浅水)

学生がラベルをデザインしたオリーブ茶が販売されます

 食料農業システム学科山口ゼミでは、これまで高島市今津町の南深清水地域と連携して、柿とオリーブを通した地域ブランディングのお手伝いをしてきました(2018年の活動その12018年の活動その22019年の活動その12019年の活動その22020年の活動(リンク先は滋賀県ホームページです))。2019年度には、「しがのふるさと支え合いプロジェクト」に採択され、地域と食料農業システム学科との間で連携協定を締結しています。


深清水は「今津の柿」として知られる滋賀県随一の柿産地ですが、高齢化にともなって、作業強度が高く危険な高所作業も伴う柿の栽培を断念されるケースが発生しています。そうした耕作放棄園の活用策として、現地では4年前から比較的労働強度の低いオリーブの植樹にも取り組みはじめています。

ゼミ生がオリーブの植樹をお手伝い。添え木を打ち込んでいるところです(2019年)

植樹を始めてから4年が経ちましたが、良質な実が多く獲れるようになるまでにはまだまだ試行錯誤が必要です。そこで副産物として剪定枝からとれるオリーブの葉をお茶に加工して、先行して商品化を進めることになり、ゼミ生がそのパッケージデザインを任されました。

そしてこのたび、2021年6月28日よりオリーブ茶が販売されることとなりました!(ニュースリリース

学生にも、スッキリして飲みやすいと好評でした

数量限定で、次回販売は秋以降になる予定だそうです。お近くにお立ち寄りの際は、ぜひお試しください。(山口)



植物生命科学実験(6/21)

今週の3回生の植物生命科学実験です。

さて、先週の「植物の形質転換のためのアグロバクテリウム感染実験」の結果を見てみましょう。

アグロバクテリウムを感染させた葉はどうなったでしょうか??


少しシリンジの跡がついていますが、無事枯れずに成長していました。


今回の感染では、YFPとRFPという2種類の蛍光タンパク質を葉で作らせています。LED型トランスイルミネーター(光源装置)を使って、蛍光を観察しました。


実習では、この葉をすりつぶしてタンパク質の抽出を行いました。



今回用いた蛍光タンパク質には、エピトープタグと呼ばれる8個のアミノ酸が付加されています。このアミノ酸をフックのように使って、抽出液から蛍光タンパク質だけを取り出すことができます。(タンパク質の精製)


目的のタンパク質が光っているので目で追うことができ、精製する過程をより理解することができました。

(辻村)



【植物生命科学科で扱う実験生物】No.04 C4植物フラベリア

    植物生命科学科では、植物はもちろん、微生物から昆虫まで(中には動物を使ってのデータも!)さまざまな生物を実験に用います。このシリーズでは、各研究室で扱っている生物を順番に紹介していきます。

 環境生理学研究室(古本ラボ)では、植物が環境変動に応答する様子を研究しています。

 雲の影響で光量は大きく変動します。この光量変動に素早く応答する植物の光合成、トウモロコシやサトウキビ、キビ、ヒエ、アワなど、多くの作物種で行われている「C4光合成」の研究を進めています。

 

これはキビの芽生え
主に使用しているのは、このフラベリアという植物。
日本にはまだ帰化していません。
フラベリア属内には、C3光合成をする種、C4光合成をする種、
それらの中間的な光合成をする種がおり、
C4光合成の進化過程を研究できる珍しい植物です。
栽培植物にもC4光合成を行うものがあります。
マツバボタン、ハナスベリヒユ、千日紅。
どれも日本では、夏の植物です。

 他にもオオムギやシロイヌナズナ、タバコなど色々な植物を実験には使用します。着目している現象に合わせて、もっとも適した研究植物を選ぶこと。これは、それぞれの植物の特色を理解することと同じことで、また、常に自分の視点を新しくするコツの一つだと思っています。

 今後は、ちょっとしたアスファルトの隙間でも生えることのできる植物の能力について、研究してみたいなぁと思っています。
(古本)

 





 温室だより

ドクダミは厄介者か?


道端などでよく見かけるドクダミ(Houttuynia cordata)はドクダミ科ドクダミ属の多年草で、「十薬」の生薬名で薬用植物として利用されるほか、最近はドクダミ茶としての利用も見られます。ところが、地下茎で繁殖するため根絶が難しいうえ、独特の匂いが嫌がられ、どちらかというと厄介者の植物として認識されています。

ドクダミ(Houttuynia cordata

 ところが最近は、八重咲きの花が咲く系統やカラフルな葉を持つ系統が流通するようになり、観賞用植物としての利用されるようになっています。独特に匂いは同じですが、観賞価値も高く、何よりも丈夫な植物です。ただし、繁殖すると根絶が難しくなるので、栽培場所などは十分に検討してからの利用をお勧めします。

八重咲きのドクダミ

葉がカラフルな斑入りのドクダミ

植物資源の利用というのは、ところ変われば利用方法も変わります。中国の雲南省では、ドクダミの地下茎がよく売られています。この地下茎をお酢や香辛料で味付けしたものが時々食べられています。匂いがなくならないので、私は苦手な食材ですが、葉を天ぷらなどにすると匂いが消えるようです。私の研究室では、ドクダミを新しい食材に利用できないかという研究を始めました。

左:雲南省の市場で売られていたドクダミの地下茎、右:ドクダミの地下茎の料理、匂いはそのままなので、人による好き嫌いが激しい。

         (資源生物科学科 植物資源学研究室 神戸敏成)